京都教区について

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京都教区教化委員長・京都教務所長/篠岡 誓法

「2022年度に当たって」

1.はじめに

 日頃より、宗門の護持興隆並びに教区・組における同朋会運動の推進に格別のご尽力を賜っておりますこと厚く御礼申し上げます。

 6月29日付にて、京都教務所長兼ねて大津別院輪番・山科別院輪番・伏見別院輪番を拝命いたしました篠岡誓法と申します。皆様のご指導ご鞭撻を賜りつとめてまいりたく思っておりますので何卒宜しくお願い申し上げます。

 本年度は、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要の厳修年度であり、また、2022年という年は、同朋会運動が発足してからちょうど60年という節目であります。皆様と共に着実な歩みを踏み出していかなければならないと心を新たにいたしておりますのでご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

2.2021年度宗派経常費等の収納報告
 2021年度宗派経常費の全国の御依頼は46億8,834万円であり、収納額は50億2,319万7,211円、率にいたしまして107.1%のご収納をいただき全25教区において完納となったことであります。その内京都教区における2021年度の御依頼は2億1,478万1,000円であり、御依頼に対する収納額は2億4,610万3,159円、率にいたしまして114.5%の超過完納をいただいたことであります。教区内679ヵ寺に御依頼を申し上げ660ヵ寺にご完納をいただいたことであります。

 宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃懇志金の全国への総御依頼は29億円であり、収納額は25億2,195万8,325円、率にいたしまして86.9%のご収納をいただいております。その内京都教区における御依頼は1億3,299万4,000円であり、御依頼に対する収納額は1億318万7,581円、率にいたしまして77.5%のご収納をいただいております。

 新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響の只中にあっても、宗門の活動に深いご理解をいただきご納金をいただきましたことは、ご住職様をはじめご門徒の皆様の厚いご懇念の賜物と衷心より御礼申し上げます。

3.2022年度の宗務について

2022年度の宗務執行の重点は、主として①【「慶讃法要」の厳修に万全を期す。】  ②【「是旃陀羅」の課題に取り組む。】【③「宗務改革」を推進する。】これら3点が示されております。

まず、慶讃法要は、テーマ「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」のもと、「慶喜奉讃の御仏事」をお迎えする準備を整えてまいります。団体参拝の募集については当初計画どおり進める予定となっております。また、参拝の奨励として7月1日より宗派公式YouTubeチャンネルにて、ご門首及び宗務総長から慶讃法要を迎えるにあたって全国のご門徒の皆様に向けたメッセージ動画を配信致しております。慶讃法要厳修があらためての「仏事の回復」、「集まる教化」回復の契機となるよう、このたびのご法要をお迎え致したいと考えております。

次に「是旃陀羅」の課題については、2018年10月15日に宗務総長の諮詢に応える教学会議から、教団内で課題を共有し社会に発信していくために宗派が取り組むべき施策の方向性として、7項目の視点が示されております。

①全国の寺院・教会を対象とした意識喚起

②教師資格取得のためのカリキュラムの見直しの中での学習資料の精査

③経典からの削除の可否及び経典読誦の方途の検討

④経典等における他の差別的表現への取り組み

⑤「同朋の会」テキストである『現代の聖典』の改訂

⑥聖教編纂事業における差別的表現への取り組み

⑦安居での取り上げ

その取り組み状況の内①全国の寺院・教会を対象とした意識喚起については、解放運動推進本部が主体となる「教区学習会」や、「部落差別問題等に関する協議会」を実施いたします。また、『真宗』及び『同朋新聞』において「是旃陀羅」問題についての連載などで課題の共有を図ってまいります。加えて、僧侶への課題共有のための小冊子を本年中に発行していく予定であります。②教師資格取得のためのカリキュラムの見直しの中での学習資料の精査については、教師養成校での差別問題及び人権学習において、教職員の手元資料としての『宗門近現代史学習資料』が本年中に作成されます。また今後教師資格取得のための科目を精査し、教師養成校とも十分協議を進めてまいります。⑤「同朋の会」テキストである『現代の聖典』の改訂については、教学研究所を中心に研究を進めてまいります。『現代の聖典 学習の手引き』については、解放運動推進本部と教学研究所が共同で「『観無量寿経』に聞く研究会」において観経の基礎研究を中心に進めてまいります。併せて、今年3月より大谷大学教授であります、福島栄寿氏、東舘紹見氏、同朋大学教授の安藤弥氏に企画調整局参事として参画いただき、部落解放同盟広島県連との対話をとおし提起された問題について真摯に検討を進めてまいります。

次に「宗務改革」の推進について申し上げます。急速に変化する社会にあって未来に教えをつなぐ宗門の基盤整備を目指し、「宗務改革(行財政改革)の推進に向けて(内局案)」に基づき、意見交換と課題の共有を目的に、2021年12月より内局巡回が実施されました。内局巡回では、宗門の現状に危機感を持ち、同朋会運動の更なる推進に資する宗門の基盤整備の必要性については共有されましたが、行政改革の推進にあたっては、丁寧に議論を重ねて進めるべきとの意見、要望が出されました。このたびの内局巡回での意見を受け止め、特に丁寧な議論を要すると判断される改革内容については、今後のタイムスケジュールを含め、十分な議論が尽くせるよう、新たに「行財政改革検討委員会」が設置され、宗門を挙げた行財政改革の推進体制が整備されました。委員会は宗務総長が委嘱した委員40人以内で組織され任期は2年となっております。但し、教区及び組の改編や門徒戸数調査の他、既に条例による委員会や宗務審議会で議論が進められている案件については当該の会議体において取り組みが進められます。また人事制度や業務効率化等、従来から経常業務として改善を進めてきた課題は、引き続き宗務執行機関において取り組みが進められます。

4.2022年度宗派経常費御依頼等並びに新型コロナウイルス感染症への対応について

 長期にわたる感染症の影響による全国の寺院・教会及びご門徒の厳しい経済状況に鑑み、宗派経常費御依頼額は、感染症の流行以前である2019年度に比して2億円の減額となっております。これは、現下の厳しい財政状況にあり歳出抑制につとめてまいりましたが、感染症の拡大により止む無く休止していた事業が徐々に再開され、各種研修や諸会議が復調傾向にあることなど、事業を円滑に展開するうえで、これ以上の減額措置は困難であることをご理解いただきたくお願いを申し上げます。

 また、2018年度から行われている慶讃懇志金勧募に伴う5,000万円の減額、並びに教区改編による宗務費削減に伴う5,000万円の減額、第1期改編教区に対する2,066万円の減額については引き続き行われます。従いまして2022年度の全国への宗派経常費御依頼額は49億8,234万円となり、京都教区へは2億2,657万円の御依頼がございました。これは2019年度に比して1,734万円の減額となっております。

 その他の負担軽減策は、2022年度に厳修される宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要における法要御香儀であります。このたびの慶讃法要は「一人ひとりから積極的にご懇志をお運びいただく」ことを目標に寺院賦課金の50%、僧侶賦課金の100%をそれぞれ法要御香儀として賦課される予定でありましたが、当初の計画を変更し、寺院賦課金の25%、僧侶賦課金の100%がそれぞれ法要御香儀として賦課されます。

 大変厳しい社会状況の中ではございますが、何卒昨年度に引き続きまして、精一杯のご懇念をお運びくださいますようお願い申し上げます。

5.御依頼割当と門徒戸数調査

 2021年10月に提出された御依頼割当基準策定委員会からの答申に基づき、2022年1月号の『真宗』において2023年度からの御依頼割当基準の内局方針が公開されました。それは、同朋会運動の更なる推進のため公平で透明な財政制度の構築を願い、宗門世論が求め、調査に取り組んできた門徒戸数調査によって導き出された門徒指数を御依頼割当基準に10割使用するという方針であります。

 この方針による御依頼割当基準策定には、第4回門徒戸数調査の結果が信頼性を十分に担保するものでなければならないことは当然であり、教区の声を聞き取り、中央門徒戸数調査委員会を中心とした継続的な点検を通して精度向上が図られることであります。そのうえで調査結果を見定め、御依頼の実効性という観点で、一定の調整や移行措置を含め御依頼の平準化に向けた歩みを進める上で必要な措置が取られることであります。

6.京都教区宗務執行方針

(1)教区教化事業について

 2021年度、教区教化推進本部は、その前年度までの見直しをもとに新たな歩みを始動させました。具体的には、本部長や本部員の選定方法を抜本的に改正したことで、教化推進本部5部会での情報共有がなされました。また定期的に常任本部会の開催を重ねることで、部会間において教区教化全体の理解を深めること、意志の疎通を図ることができたことは大きな成果と言えます。

 教区教化推進本部を構成する部会については、昨年度末に以下の4部会の名称が決定されました。

○ 育成研修部会 ○ 出版部会 ○ 青少幼年教化部会 ○ 男女共同参画部会

 それぞれ部会内の会議及び常任本部会において検討が重ねられ、共同教化部会(仮称)については以前の門徒・推進員研修小委員会の研修内容を含んでおりますが、昨年度から「出向く教化」という取り組みを始めようと試みました。その中で共同教化という大きな可能性を含んだ言葉が指し示す内容が何なのか、またそのことをどのように教化活動に具体化するのか、絞りきれないところもあり、共同教化部会の名称に本年も引き続き(仮称)を限定的に付加することとなりました。

 主に今年度は、寺院-組-地区-教区がより有機的な連携が取れるよう、特に「出向く教化」の具現化を目指す年度となり、教区教化がより充実したものになるよう願っております。

 なお、今年度は教区教化委員会の任期が最終年度となります。本山慶讃法要や、教区教化委員会・教化推進本部の総括の時間を見据えた事業計画及び実施につとめてまいります。

①教化委員会・教化推進本部事業

 昨年度に引き続き、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要テーマ「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」を教区教化テーマに掲げ、テーマに込められた願いを学びます。本年度は慶讃法要厳修の年度となりますが、このテーマに関わる学びが一過性にならないように、寺院-組-地区-教区との連携を取りながら継続性を大切にした歩みを進めます。

②育成研修部会

 第16期最後の年度となる伝道研修会では、真宗の学びを深めると共に、現代に応える伝道の在り方を研修し、次代を担う僧侶の育成につとめます。また、教師試験検定準備学習会については、長期学習型の夏期と区別し、春期を短期模擬試験型と位置づけ実施致します。さらに、京都教区宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業特別会計(以下、慶讃特会)に予算化している拾学舎については、兼職者を主な対象とし、「葬儀式」をテーマに、今期の最終回に模擬葬儀を行うことを目指し開催致します。

③共同教化部会(仮称)

 組長・組門徒会長研修会を開催し、共同教化部会の目指す「出向く教化」について周知し、そこから地区における共同教化の課題と展望について「出向く教化」の実施を見据えた地区・組巡回懇談会を開催致します。

④青少幼年教化部会

 「児童大会」については従来の形にとらわれず、可能な限り子どもたちとの出会いを大切にし、新型コロナウイルス感染症影響下の中でも開催していける方途を模索し、開催を目指します。また、各寺院の状況に沿った子ども会の充実を願い、本年度も青少幼年教化各組代表者研修会を開催致します。

⑤出版部会

 『教区だより』の連載が終了するにあたり公開講演会を開催いたします。また、『教区だより』連載から公開講演会までを教化伝道冊子として発刊する取り組みを新たに始めます。本年度は冊子発刊の準備年度として、過去の『教区だより』の連載原稿をもとに試作冊子を発行し、今後、各寺院の教化活動に活用していただける有償冊子発行に向けた礎と致します。

⑥男女共同参画部会

 男女両性で形づくる教団を目指す研修会の開催にあたり、若狭地区に出向き、地区教化委員会と共に研修会を創りあげてまいります。また、男女両性で形づくる教団を目指すための懇談の場(女性の意見を聞く場)については継続して開催し、新設するジェンダーに関する研修会においてジェンダーやLGBTQなどの学びを共有してまいります。

(2)教区慶讃事業について

 慶讃事業推進委員会において、総合調整部会、お待ち受け大会部会、教化広報部会、団体参拝部会の4つの専門部会がそれぞれ具体的に実働致しております。

 お待ち受け大会部会では、地区または組で開催されるお待ち受け大会に向けた協議内容を共有するため、地区教化委員長より「情報共有メモ」を提出いただき、お待ち受け大会の情報について集約致しました。今後、検討中の地区または組においても、お待ち受け大会までの取り組みが人の養成につながるような、お待ち受け大会を機縁として何かが始まるような大会として計画いただけるよう、引き続きはたらきかけを行います。

 教化広報部会では、『慶讃だより』を継続して発行致しております。特に、お待ち受け大会部会により集約された各地区または組お待ち受け大会の情報をもとに、部会員が取材に出向き、特集として紙面にて報告いたしております。2023年冬号(2023年1月1日発行予定)が最終号となりますが、『慶讃だより』にご寄稿頂いた方々の文章や表紙絵を冊子にまとめ、京都教区の慶讃法要教区団体参拝記念品として配布が検討されております。

 団体参拝部会では、2022年度組長会(2022年8月2日開催)において、慶讃法要教区団体参拝席抽選会を行い、京都教区指定席の中から組毎の参拝席を決定致します。

 また、『慶讃だより』の冊子化に併せて、慶讃法要期間中に配布する団体参拝記念品についても検討されております。

 なお、総合調整部会では、本山慶讃法要期間中(京都教区団体参拝実施日)、京都教区会館を休憩所としてご利用いただけるよう検討が進められております。

(3)第4回門徒戸数調査に係る数値の公開と使用について

 2022年2月1日を調査期日とする第4回門徒戸数調査については、本年8月末までに中央門徒戸数調査委員会へ調査結果報告を行うため、現在報告書の作成を教区調査委員会にて行っております。

 今後、中央調査委員会による点検期間を経て、明年7月の『真宗』誌にて調査結果が報告され、調査で得られた指数については、2023年度からの宗派経常費御依頼割当基準に使用されます。教区内においては『教区通信』にて調査結果を公開し、2023年度から組への宗派経常費御依頼割当基準に使用されます。組への割当方法については、教区財政委員会についての項で改めて申し上げます。

(4)長浜教区と京都教区の「教区及び組の改編」について

 2016年10月14日に第4期「教区及び組の改編に関する中央委員会」報告書が内局に提出され「長浜・京都教区」の改編試案が示されて以降、長浜・京都地方協議会では、協議会を22回、またその間には各専門部会を19回行い、改編後に発足する新教区が、教財両面にわたって安定した教区運営が可能となるよう協議を重ねてまいりました。

 そして、これらの協議内容は京都教区においては、教区改編委員会を11回、教区内説明会を2回開催し、その進捗を報告するなかでいただいた様々な提言や要望を取り纏めながら、また、長浜教区の方々のご意見を尊重しながら5年半の歩みの中で進められてきたことであります。

 これらの取り組みが重ねられ、このたび合意事項であります7つの項目について、2022年6月24日開催の両教区の改編委員会において合意書を締結する旨の同意をいただき、2022年6月27日の地方協議会において合意書が作成されました。そして2022年7月21日の教区会並びに2022年7月26日の教区門徒会において、合意書が以下のとおり可決されたことであります。

①教区の名称   京都教区

②実施期日    2024年7月1日

③教務所の所在地 現京都教務所とする。現長浜教務所は教務支所とする。

④教区の財産   新教区が承継する(一部会計を除く)

⑤別院の崇敬区域 従前のとおり

⑥組の名称    従前のとおり(長浜教区の組名にはそれぞれ「長浜」をつける。)

⑦その他     教化事業推進のため地区間の交流を行う。教学研鑽機関を設置する。

 新教区発足に向けて、今後は、両教区の参事会員・常任委員会委員で組織される、新教区準備委員会において、さらに協議が重ねられていくことになります。

 また、合意事項に含まれない様々な課題については、両教区内での説明会においていただいたものは説明会報告書として、加えて地方協議会の場で見いだされものについては宗派への要望書として、新教区準備委員会に申し送られることになります。これらの課題は、宗務当局と新教区準備員会とが、歩みを共にしながら、新しく誕生する「京都教区」の実現に向けて、弛まぬ協議を行っていくことで克服していくこととなります。

 新教区準備委員会による協議は、新教区発足時期である2024年7月1日に向けて、教区改編委員会・教区会・教区門徒会とのコンセンサスを図りながら進められますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

7.京都教区財務方針

(1)教区財政委員会について

 諮問事項「2022年度以降の京都教区宗派経常費御依頼額各組割当基準及び同教区費各組賦課基準について」の答申を去る2022年5月13日に教区財政委員会:山名彰心委員長から提出いただきました。

 その答申において教区財政員会の全会一致をもって、これまで長年に亘り、宗派経常費御依頼の割当基準の要素として使用されてきた「持点」を使用せず、割当には  門徒戸数調査による「門徒指数」を10割使用するとの判断がなされました。

 またこのことと併せて、「激変緩和措置」と「格差補正」を用いて、今後6年をかけて、1門徒指数あたりの御依頼額の平準化を行う方法についても検討いただいたことです。

 長期展望に立ち、併せて教区内相互扶助の観点に立ちながら、大変な調整をいただくなかで、答申を作成いただきましたこと、教区財政委員会の皆様には深甚の謝意を申し上げます。

 教区会・教区門徒会において、6年後の1門徒指数あたりの御依頼額の平準化に向けて、この答申に基づき割当することが可決いたしました。

(2)2022年度教区予算編成方針並びに2022年度京都教区一般会計予算について

 次に2022年度京都教区一般会計予算については総額9,360万円、前年度比130万円の増額で編成いたしました。

 歳入面は、前年度の宗派経常費御依頼額に大きく影響を受ける交付金は新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の2019年度比では548万円の減額となります。

 今年度の交付金については、昨年度の京都教区宗派経常費御依頼額の収納が感染症の影響下にもかかわらず、住職・教会主管者、門徒の皆様のご尽力、ご協力により114.5%の超過収納をいただいたこと、2022年度の御依頼額が前年度に比して1,178万円増額したことにより前年度比326万円の増額となっております。

 しかしながら、これらの交付金の増減は新型コロナウイルス感染症の影響によるものであり、2023年度以降の京都教区への宗派経常費御依頼額は、大幅な増額には至らないと予測されることから、交付金の増額は見込むことはできません。

 また、宗派からの教化助成金も減額傾向にあることから、継続して歳出内容の見直しを行っていくことに加え、教区費の増額についても検討が必要になってまいります。

 ただし、今年度は教化委員会や財政委員会を始めとした諸会議についてインターネットを活用して開催したこと、各組・各地区で当初計画された教化事業が実施できなかったことによる各種教化助成金の未執行があったこと、組への賦課金事務諸費の還付を廃止し雑収入への繰り入れを行ったこと等により、1ヵ寺あたり2万円の教区費を今年度も増額することなく予算編成を致しました。

 なお、教区会館基本金積立費についても、将来的な常磐会館の営繕及び維持管理を視野に入れて、引き続きご協力賜りますようお願い申し上げます。

 続いて、歳出面では、教学費については前年度比481万円の増額で計上致しました。昨年度は教区教化委員会・教化推進本部の体制が刷新され、主に教化推進本部5部会での情報共有がなされました。本年度は、寺院―組―地区―教区がより有機的な連携が取れるよう、特に「出向く教化」の具現化を目指す年度となります。

 昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、計画通りに事業が実施できなかったところもありましたが、今年度はインターネットを活用する等状況に応じた開催方法を模索し、積極的に開催していく方向で経費を予算化致しました。

 また、今後、教区教化事業並びに各組・各地区への各種教化助成を継続して行っていくためには、教区の諸事業及び歳出内容の更なる点検・見直しを行っていく必要があります。

 その一つとして、これまで各組の経常費の収納状況に合わせて付しておりました奨励旅費(約280万円)を廃止し、新たに「組事務費」として5万円を各組一律交付し、活動費用の補助に充てさせていただきます。

 併せて、これまで各組にお任せしておりました講師を招いての研修会開催等に係る謝礼の源泉徴収事務については、組の事務軽減として、京都教務所において税理士法人烏丸会計事務所(京都市中京区)と契約を結び、各組の源泉徴収事務を一括して業務委託する経費に充ててまいります。

8.正副組長選挙並びに教区会議員選挙

(1)正副組長選挙並びに教区会議員選挙について

 正副組長任期(2022年11月30日満了)及び選出教区会議員任期(2022年12月23日満了)が満了するにあたって、2022年度組長会に併せて、選挙日程及び事務手順の伝達を行います。

 以上宗門の宗務執行方針及び教区の状況等につきまして申し述べさせていただきご挨拶とさせていただきます。

以 上


京都教区会議長/深尾 浄信

「新たなる歩みを共に」

 教区の皆様方には、ますます、ご清祥のこととお喜び申し上げます。

 平素は、教区の運営並びに教化事業にご理解とご協力を賜っておりますこと厚く御礼申し上げます。

 今なお猛威を振るう新型コロナウイルス感染症と向き合い、状況を踏まえつつ、この状況を乗り越える工夫を講じて、確かな繋がりを結ぶ場が開かれ続けることの大切さを感じております。

 昨年度改正された教区教化委員会規則のもと、意を新たに「教区教化は教区人の手で」を合言葉とし、新たな教化推進本部が実動いたしました。教化推進本部員が一丸となって、事業計画を立案し、課題を共有し協働して教化の推進に努めてくださり、その取り組みも明らかに「見える化」されてまいりました。そのご尽力の姿に、私は尊さと感動を覚えるものであります。

 また、明年春にお迎えいたします宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要、並びに各地区・組で行われている「お待ち受け大会」が、教区教化への取り組みの意義を深め、気づかせる、ともなる歩みであります。どこまでも本願他力の教えに帰していかれた宗祖の姿勢に私たちが立ち返り、教えに出会い直す大切な勝縁にしなければならないと思っております。

 一方、人口減少や少子高齢化、過疎過密など著しい社会状況の変化に即応し、将来に亘って真宗の法灯を相続していくための宗務改革の一環として、私どもは「教区及び組の改編」に取り組んでおります。

 2016年10月に第4期「教区及び組の改編に関する中央委員会報告書」が内局に提出され、これまでの30教区を17教区とし、長浜教区と京都教区とが改編するという試案が示されました。

 以来、両教区の代表で組織される地方協議会において、各組で開催された改編説明会での参加者からの意見を課題ごとに集約し、教化・組織・財務の面から協議を重ね「改編後の新教区像を示すための資料(「VOL.2」)」を作成し、改めて各地区、組において改編説明会を開催し、教区改編委員会への報告を行いました。

 そして、この度、それらの経緯を踏まえて、教区会、教区門徒会において両教区が一つの教区となる「合意書」が可決されました。

 その議決に基づき、「新たな京都教区」の教区像を具体化するための協議を行う  「新教区準備委員会」(両教区の参事会員並びに常任委員にて組織)がいよいよ設置されることになります。新教区準備委員会では、2024年7月の新教区発足を目指し、今日まで皆様から頂いた多岐にわたる課題を基に協議が重ねられてまいります。

 改めて、宗務改革という大きな時代にあって、2007年『真宗』6月号巻頭・樹心佛地に述べられてある『「本願念仏に生きる人の誕生」とは、〈蟬脱〉(せんだつ)といえる脱皮。変わりようのない自分自身が如来の声に促されながら「弘誓の仏地」に樹(た)って歩むことが深く願われている。』ことを深くいただくことであります。

 教区の皆様には、このたびの教区改編の取り組みに対しまして、各段のご理解とご協力をお願い申し上げ新年度の初頭にあたりましての挨拶といたします。

 


京都教区門徒会長/田中 正章

「次世代に繋ぐ宗門」

 教区門徒会員の皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。

 平素は、教区門徒会の運営にご理解とご協力を賜り、篤く御礼申し上げます。

 この度、2022年度の木越宗務総長演説では、同朋会運動を基軸に「真宗再興」を述べられております。真宗門徒である私たちは、「同朋会運動の濫觴」から初し「真宗再興の伝統」、「宗憲前文の提起」、そして宗門の使命である「真宗再興」など、深い熟考と覚悟に満ちた一言一句に対しまして、心より敬意を表するものであります。

 さて、長引くコロナ禍やウクライナ危機・・・、世界はいま未来を大きく左右する分水嶺に差し掛かっていると思います。私たちは、この難しい状況下で如何に生き、如何にして道を切り開いてゆけば良いのか、熟慮しなければなりません。

 こうした厳しい現実のもと、来春には「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要」が厳修されます。そして、テーマは、「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」であり、50年前の慶讃法要テーマ「生まれた意義と生きる喜びを見つけよう」に重なるが、時代背景の違いを感じることができます。

 高度経済成長期だった当時は、物質的に豊かになる中で、生きる意義や喜びが問われるのは良くわかります。しかし、現代はどうでしょう。格差は進行し、新たな階級社会とも言われる現代日本において、生きることへの不安が多くの現代人の意識に横たわっているように思います。「努力し、豊かになれば幸せになる」という、かつての人生モデルの現実味が薄れた現代では、現実に向き合う心が問われています。生きる喜びよりもっと直截的に今現にあることの意味(内容・目的・意義)が求められているように思うところです。

 次に、宗務改革についてであります。少子高齢化、人口減少をはじめとする社会的変化や宗教離れという現実の中で、将来に向かって持続可能な宗門の基盤整備を目指し「宗務改革(行財政改革)の推進に向けて【内局案】」に基づき、2021年12月より内局巡回が実施されました。

 同朋会運動の更なる推進に資する宗門の基盤整備の必要性については共有されましたが、行財政改革の推進にあたっては、丁寧に議論を重ね今後のタイムスケジュールを含め、新たに「行財政改革検討委員会」が設置されます。

 最後に、長浜教区と京都教区の教区改編については、2022年7月21日開催の教区会並びに2022年7月26日開催の教区門徒会において合意書が締結され、実施期日は2024年7月1日になりましたことをご報告いたします。

 歴史と伝統ある真宗大谷派の明日に向かって一歩、一歩着実に進まんことを祈念申し上げたいと存じます。

 

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