ご挨拶
2025年度 京都教区 教区会(教区門徒会)教務所長挨拶(要旨)

1.はじめに
2025年度当初の教区会・教区門徒会のご案内を申し上げましたところ、公私共にご多端の折にもかかわらずご出席賜りましたこと厚く御礼申し上げます。
また、日頃より、宗門の護持興隆並びに教区・組における同朋会運動の推進に格別のご尽力を賜っておりますこと重ねて御礼申し上げます。
はじめに、昨年の元日に発災した「能登半島地震」以来、今なお非常に厳しい環境の中におられます皆様に、衷心よりお見舞いを申し上げます。今後も息の長い支援を継続し、一日も早く、穏やかな日常を取り戻せますよう、力を尽くしてまいります。
昨年の7月1日、旧長浜教区と旧京都教区は改編し、新たに京都教区として歩みだしから1年が経過しました。おかげさまをもちまして、新教区の教区会・教区門徒会の議事並びに教区門徒戸数調査委員会や教区財政委員会を始めとした諸委員会につきましては、議員・会員各位のご理解とご協力をいただいたおかげで、順調に運営できております。
本日は新教区発足後、初の両会合同会を100名の体制にて開催できることとなりました。「出会いと交流」によって、親鸞聖人のお念仏の教えを次の世代に受け継ぎ伝えるための「教化の体制の確立」に向けた大切な一年が始まります。
教化事業の概要については、先般の教区会議員協議会・教区門徒会員協議会にて申し上げましたとおり、それぞれの現場が抱える様々な課題を共有しながら、方向性を模索し、具体化していく取り組みを進めてまいりますので、議員・会員各位には、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2.2024年度宗派経常費等の収納報告
2024年度宗派経常費の全国の御依頼は50億2018万円であり、収納額は54億2603万1204円、率にいたしまして108.0%のご収納をいただき全19教区において完納となったことであります。
その内、京都教区における2024年度の御依頼額は2億9184万円であり、御依頼に対する収納額は3億5438万5374円、率にいたしまして121.4%の超過完納をいただきました。なお、1059ヵ寺に御依頼を申し上げ1041ヵ寺にご完納をいただいたことであります。
加えて、昨年1月1日に発生した令和6年能登半島地震に対する救援金の勧募につきましては、昨年度末までで合わせて34,535,203円の救援金をお寄せいただいております。
宗門の活動に深いご理解をいただき、格別の御懇念を賜りましたことに加え、被災された方々に思いを馳せ、救援金を届けてくださっていることに対し、あらためて身の引き締まる思いであります。この場をおかりしてご住職をはじめご門徒の皆様に衷心より御礼申し上げます。
3.2025年度の宗務について
2025年度の宗務執行方針について、主として3点が示されております。
①宗務改革について
行財財政改革検討委員会による約2年に亘る協議の結果「行財政改革検討委員会報告」が内局に提出され、昨年度より「行財政改革推進本部」を設置し、宗会との緊密な連携を取りながら、重要課題について順次取り組んでおります。本年度は特に宗門の持続可能な基盤整備を図るべく4つの柱を立てて取り組んでまいります。
①「同朋新聞のリニューアル」(2026年1月号より)
同朋新聞は発刊以来63年間を経て、現在約75万部が発行されている宗門最大の情報媒体であります。同朋会運動の推進に資する機関誌として、同朋新聞の紙面を8ページから12ページに増補し、紙面の充実と頒布拡大に努めてまいります。
増額する発行経費については、これまで同朋会員志の収納額の10%を還付しておりましたが、2025年度は還付率を5%、2026年度には廃止とし、還付金を同朋新聞発行経費に集束いたします。リニューアルを機に様々な世代に向けて、また宗門外の方々にも手にとっていだだけるようさらなる教化の充実を図ります。
②「財政の健全化と自主財源の確保」
「本山直結型事務」などを取り入れたコスト削減の対策が急務である中、宗派における物流改革といたしまして、授与物・出版物・記念品等のオンライン決済を可能とするECサイトの立ち上げを2026年度より開始できるよう準備をすすめております。
また、宗派自主財源の更なる増収に向けて、「大谷祖廟の総合整備」を行うために条例による委員会を設置いたしました。今後複数年に亘る総計画を立案し、着実に実行してまいります。また「東本願寺真宗会館(東京)」「沖縄別院」においても納骨に関する施設整備は喫緊の課題と認識しており、関係各位と連携を保ちつつ進めてまいります。
また、「宗費賦課金」について、1992年当時の寺勢によって設定された、「号数」によって現在賦課されている寺院賦課金について、僧侶賦課金と併せて今年度中に金額の再設定と導入時期について審議してまいります。
③「大規模災害被災教区の教化・運営を支えるための体制づくり」
「災害時特別教化交付金」を新設し、災害時における教区運営に関して、1日も早い教化現場の回復を期した支援体制の確立を行います。またこの財源確保のために「教化交付金」の交付基準の変更を2026年度より行います。詳細は後段で申し述べます。
また「復興共済制度」については、「能登半島地震」による49億4,013万円の給付によって「復興共済積立金」が大幅に減額いたしまいた。将来発生が予測されている南海トラフや首都圏直下型地震等の脅威に備えるべく、2026年1月より臨時措置条例によって地震発生時のみ給付額を50%引き下げる措置を講じ復興共済制度を存続させます。その上で現行制度の抜本的な見直しを行い、新制度を2028年1月より施行する予定としております。
④「教区及び組の改編と門徒戸数調査」について
教区改編については、山陽教区と四国教区が改編し、2025年7月1日「山陽四国教区」が誕生いたしました。また能登教区と金沢教区については能登半島地震の影響により期日を3年間延長し2028年7月1日の改編に向けて協議が継続されています。
門徒戸数調査については、第5回門徒戸数調査(2027年2月実施予定)に向けての継続点検作業を昨年度実施いたしました。引き続き次回門徒戸数調査に向けた環境醸成への取り組みへのご協力をお願いいたします。
②教化研修計画や教団の将来像構築に向けた取り組み
宗派における3ヵ年一体型の「教化事業計画」が最終年度を迎える中で、2026年度以降の取り組みが策定されます。
教区においてはこれに向け、昨年1月に調査をいたしました「第8回教勢調査」に関する説明会を開催いたします。また教区改編を機としてあらためて京都教区としての「教区帰敬式実践運動推進計画」を教化本部企画室を中心に立案してまいります。今年度より各地区・組で実施を計画いただきます「慶讃法要」をはじめとした、あらゆる機会において帰敬式を執行いただき、一人の念仏者の誕生を願い、取り組んでまいります。
また「別院の将来構想」については答申を受け、条例による委員会を設置し、別院の具体的な将来像を創出すべく協議が行われます。全国51の別院について、喫緊に対策が必要な別院を抽出し、第1次再編成を3年以内の目途をたて実施してまいります。
また、「大谷専修学院」については、学院の運営体制を整える必要があることから現在学院生の募集を停止しております。一日でも早く学院生の募集が再開できるよう努めてまいります。
③「是旃陀羅問題の課題共有」について
宗門は正依の経典である『仏説観無量寿経』序分・禁母縁に説かれる「是旃陀羅」の語について、差別を助長する解釈を行い、長年にわたって被差別部落の人々に耐えがたい苦しみを与えてきました。
2018年に宗務総長の諮詢に応えるべく教学会議から、教団内において課題を共有し社会に発信していくために宗派が取り組むべき施策の方向としての7項目の視点が示されております。
①全国の寺院・教会を対象とした意識喚起
②教師資格取得のためのカリキュラムの見直しの中での学習資料の精査
③経典からの削除の可否及び経典読誦の方途の検討
④経典等における他の差別的表現への取り組み
⑤「同朋の会」テキストである『現代の聖典』の改訂
⑥聖教編纂事業における差別的表現への取り組み
⑦安居での取り上げ
これまでの歴史とその責任を重く受け止め、宗門に属するすべての僧侶と門徒が、「是旃陀羅」問題に係る課題について共に学ぶことを通して、部落差別をはじめとした現実にある差別問題の克服に繋がるよう学習冊子やテキストを輪読しての学びを継続してまいりました。
7つの施策の次なるステップとして、法事における経典読誦の意味と作法についてまったなしの課題として審議してまいります。
また、京都教区においては、教化本部と部落差別問題に学ぶ同朋協議会を中心に解放運動推進本部主催の「是旃陀羅」問題教区学習会を開催し、学びを深めてまいります。
4.2025年度宗派経常費御依頼について
宗派経常費の全国への御依頼総額については、50億6283万円で、2024年度に比して4265万円の増となっております。増額の要因は教区改編後、一定年数の経過した東北、岐阜高山、九州の各教区への減額措置が廃止されたこと、並びに被災教区御依頼減免額が減少したことにあります。
今年度の御依頼総額は2019年度以前に比しますと、宗務改革における「教区及び組の改編」により、30教区体制から18教区体制になることで成し遂げられた経費削減により1億3502万円の減額、また教区改編に伴う人件費等の経費削減を根拠として、当京都教区も含め改編を終えた教区に対し総額1865万円の減額がなされております。
また、2024年1月1日に発災した令和6年能登半島地震で被害を受けた能登教区に対して、8650万円が減免されました。なお、この減免額については、被災教区以外の教区への按分は行われておりません。
したがいまして、2025年度の京都教区への宗派経常費御依頼額は、2億9007万円で、2024年度に比して177万円の減となっております。
現宗派財政における精一杯の対応策をいたしての御依頼額でありますので、何卒ご理解を賜りたくよろしくお願いいたします。先行き不透明な経済状況の中でありますが、昨年度に引き続き法義相続・本廟護持のご懇念を賜り、ご完納くださいますよう重ねてお願い申し上げます。
5.京都教区の宗務執行方針について
(1)教区教化事業について
教区教化テーマ「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」のもと、「新教区の教化体制の確立」と、「出会いと交流」の具現化に向けた取り組みを継続してまいります。本年度は特に特区や各地区・組・寺院・ご門徒をとりまく教化の課題と方向性を明確にするため、「教勢調査教区学習会」を端緒とし、教区と特区・地区が協働していくネットワーク構築に向け、ネットワークプランナーによるプロジェクトチームを編成して「特区・地区ネットワーク会議」で協議を進めます。また、「各組の巡回懇談会」や、「教化に関するアンケート」など、教区全般の教化に関する現況と課題を把握し、中長期的な視野で、地区や組を基盤とした教区教化計画の展望に資する取り組みを始めます。
(2)交付金制度改革への対応について
これまで教区に対して合算で宗派経常費御依頼収納額17%が交付されていた「教化交付金」と「奨励交付金」については「教区交付金」として1本化され、2026年度より以下のとおり交付基準が変更されます。
①御依頼額の12%
②全教区御依頼額の3%【内訳:寺院教会数10% 門徒指数の80% 教区広域指数10%】
③御依頼額超過額の27%
この変更によりこれまでと同額の交付金を収納するためには約4500万円の御依頼額超過が必要となります。
そのような状況の中、御依頼については2028年に向けて現在旧長浜・旧京都で別々となっている教区内の御依頼割当基準を統一していくことも必要となります。
したがって本年度は教区財政員会において、組への交付金・助成金のあり方も含めて総合的に判断し、あるべき御依頼割当基準の具体化に向けて協議を重ねてまいります。
6.京都教区の財務方針について
(1)宗派経常費及び教区費の割当方法について
2025年度の宗派経常費御依頼額各組割当基準並びに教区費各組賦課基準の諮問事項について、4月15日開催の教区財政委員会において全会一致をもって答申を提出いただきました。長期展望に立ち、併せて教区内相互扶助の観点に立ちながら、答申を作成いただきましたこと、教区財政委員会の皆様には深甚の謝意を申し上げます。この答申を重く受け止め、旧長浜教区と旧京都教区において従前に使用されてきた御依頼割当基準を用いて本年度の割当をさせていただきましたので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
(2)2025年度の予算編成方針について
2025年度 京都教区事業費会計予算については、総額1億3243万円で編成いたしました。
歳入の部、前年度の宗派経常費収納額に大きく影響を受ける交付金については、教区改編前に引き続き120%を超える超過収納をいただいたことにより、教化交付金は2024年度経常費収納額15%の4952万4751円を受け入れることになります。
同朋会員志還付金については、還付率が従来の10%から5%に変更されることに伴い、本年度同朋会員志目標額の5%を歳入として見込み、歳出の部の各組への還付金も5%減額で計上いたします。
教区費及び教区会館護持金については、前年度未納寺院への収納を働きかけることとし、過年度教区費・過年度教区会館護持金として計上するため前年度未収納分増額といたしております。
次に、歳出の部では、新教区発足初年度である前年度の執行状況を踏まえ、各項目の必要経費について整理し、相応の金額で安定した予算編成が出来るよう中期的期間で目指します。また、財政の安定化という視点から財政調整資金についても、事業費会計における年度間の収支の変動を調整するため、前年度に引き続き必要な資金の回付を行います。
京都教区教学研鑽機関特別会計予算については、総額214万円で編成いたしました。
本年度は第2期共学研修院の最終年度として、3回の公開講座と、同朋会館での2泊3日の宿泊研修会を計画しており、人件費や研修会開催に係る経費を増額で計上いたしました。
教区常磐会館特別会計予算については、総額520万円で編成し、光熱水費や会館設備の保守管理といった定期的な経費を計上しております。
7.宗議会議員選挙・選出教区会議員選挙・正副組長選挙について
今年度に予定されている選挙について申し上げます。教区改編後初となる任期満了に伴う京都選挙区における宗議会議員選挙が9月15日に実施される予定です。10投票区における選挙となり選挙する議員の数は6人となります。
また明年3月31日には正副組長の任期が満了を迎え、4月23日には選出教区会議員の任期が満了となります。選出教区会議員の定数は「教区改編に伴う京都教区の選出教区会議員の定数に関する特別措置条例」により13人となります。
各投票区においては区内の組長に投票管理者になっていただくなど、何かとご協力賜ることがございますので、その折には何卒よろしくお願い申し上げます。
8.おわりに
宗派方針及び教区方針の主なものにつきまして申し述べさせていただきました。教区各位のご教示をいただきながら、同朋会運動の推進に尽力いたす所存でありまので、今年度も引き続き、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。
以 上